展示品紹介
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―なつかしの玩具玉手箱―
【46】浅草のずぼんぼ
千代紙やちりめん紙は今ではほとんど忘れられた存在になってしまいました。しかし、かつては江戸名物の土産として江戸の市民はもちろん、地方からの人々に人気がありました。
江戸姉様人形の素材である千代紙は、元禄時代(1688-1704)から一般に市販されていました。錦絵や書紙と違い、小箱やふすま、姉様などに切って使われる消耗品でしたが、江戸期の浮世絵師でこのデザインを手がけなかった者はいないといわれるほど、江戸の人々に愛好されたものでした。
さて、この千代紙を使った江戸玩具の傑作が「浅草のずぼんぼ」です。獅子舞とトラの二種があり、天明(1781-1789)のころから浅草寺境内で売られていました。
獅子は青緑、トラは黄色の千代紙を使って箱を作りこれを胴として、紙の頭をつけます。
脚は赤い紙の先にシジミ貝をつけ、重しとし、ヒズメに見立てました。周囲に小屏風立てた前に置き、うちわであおぐと胴の下に風が入り、体が上下、左右、前後に面白く動きます。
「ずぼんぼ」という言葉は意味不明ですが、一説には、獅子舞を躍らせるときのはやし言葉だったといいます。着想が非凡で、造りが簡単、江戸の人々に大いにもてはやされました。
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