展示品紹介
展示品紹介
―なつかしの玩具玉手箱―
【高知の相合い傘】
土佐といえば「土佐の高知のはりまや橋で、坊さんかんざし買うを見た」の「よさこい節」が連想されます。これは全国的にも珍しい民謡の玩具化です。
別名を坊さんかんざし、よさこい人形、あるいは、はりまや人形ともいいます。高知は土佐紙の産地ですから、丈夫な和紙を使って張り子を作りました。
戊辰戦争で会津討伐軍に参加した土佐出身の岡本楠次郎は、江戸でこの種の張り子を見て、帰国後この人形を作り始めました。明治の中ごろには大好評だったそうです。
「よさこい節」の物語は恋の話です。幕末のころ、五台山竹林寺の僧純信と鋳掛屋の娘お馬は恋仲になります。播磨屋橋のたもとの小間物屋で、純信がお馬にかんざしを買い与えたのがうわさとなり、たまりかねた二人は駆け落ちをしますが、捕らえられました。
手ぬぐいでほおかぶりした僧と、赤地に白いタコ絞り模様に黒襟の町娘が、寄り添って傘に入っています。首振りの純が、やや伏し目がちにあたりをみわたし、娘はほおを赤く染めています。人目を忍ぶ男女の道行き姿を、情感あふれる作品に仕上げました。恋の哀れさを感じさせるあたりは、郷土玩具中出色の出来といえるでしょう。
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