展示品紹介
展示品紹介
―なつかしの玩具玉手箱―
【奈良五色鹿】
現在の奈良市街は都のあった平城京の左京の外京です。右京は度重なる兵火と地形上の理由で、土に埋もれ、田園となっています。大寺の多かった左京は東大寺大仏殿、興福寺、元興寺、春日大社を擁し、繁栄を続けてきました
藤原氏の氏神をまつった春日大社の鹿(しか)は、すでに江戸
時代、奈良土産として玩具(がんぐ)化されています。奈良公園
に放し飼いされている鹿は春日大社にとって神のお使いなので
す。春日大社にとって神のお使いなのです。春日大社縁起によ
れば、常磐国(茨城県)鹿島からタケミカズチノ神が白鹿に乗って
、この地に遷座したということです。
「五畿内産物絵図」(1813年刊)には大和国の土産物として練
り鹿があげられています。練り鹿とは木型の上にほご紙を張っ
た張り子の鹿(写真後ろの大きいもの)のことです。材料は古
はがきや和紙を用い、紅殻塗りに胡粉で鹿の子模様を描きまし
た。五色鹿(写真前)は二、三センチぐらいの手びねりの胴に竹の
脚をつけ、天日で乾かして泥絵の具で彩色しました。これはまた一文鹿とも呼ばれ、量り売りされていたそうです。このほか一刀彫の鹿、一センチにも満たない千匹鹿もありました。
秋には鹿の角切りが行われ、奈良の季節の移り変わりを鹿が教えています。
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