展示品紹介

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―なつかしの玩具玉手箱―
【34】米沢のお鷹ぽっぽ
 戦国越後の勇将上杉謙信を祖とし、景勝を藩祖とする出羽国米沢
藩九代当主上杉治憲(鷹山)は江戸時代屈指の名君とうたわれてい
ます。疲弊した藩財政を立て直すため、殖産興業に力をそそぎまし
た。米沢織など現在でも特産として知られるものが数々生まれまし
た。なかでも特異なのは、郷土玩具の分野における「お鷹ぽっぽ」
と「相良土人形」でしょう。
 米沢市の南、吾妻山麓舟坂峠近くに笹野千手観音堂があります。
この縁日1月17日に売り出される笹野彫りが鷹山の名にちなむ「
お鷹ぽっぽ」です。削り掛けの縁起物で、サワグルミ、コシアブラ
などの白肌の木を、猿切りという山刀、ちぢれと呼ぶ細工刀で棒の
先端から削り掛けに彫り、彩色したものです。
 その種類は冬季に生花の代用として、菊、椿、牡丹の形に作って
神仏に供えた笹野花、蘇民将来(厄病除け)、餅つき兎(勤労)、鶴
亀(長寿)、鶏(早起き)など縁起にちなんだものが多くあります。
また、この技法は先住民アイヌの人々が信仰に使ったイナウの遺習
がそのまま農民の生活に残ったともいわれ、郷土玩具の発生として
は、他に例をみません。簡素にして簡潔なそのフォルムはここの風
土のためでしょうか。

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