展示品紹介
展示品紹介
―なつかしの玩具玉手箱―
【30】美江寺の蚕鈴
燃えたつような炎の造形、金、黒、赤の大胆にして簡潔な色づか
い。この雄大な土鈴は蚕寺として有名な岐阜市、美江寺(みえじ)
の蚕鈴です。これは美江寺町の大日山美江寺観音の例祭に境内で授
与される縁起物の土鈴です。
鈴は古くは源順著の「和名類聚抄」によれば、「須々」と書かれ
ていました。
安永六(1777)年刊の「和訓栞」には、鈴のその音がすずしい
のでこの名が生じたとあります。これを打ちならせば除魔の力があ
ると信じられ、祭具、装身具として用いられました。また世界の各
民族に共通する原始楽器のひとつでもあります。
この美江寺は織田信長が稲葉城を築き、岐阜から移築されました。
この地方で盛んな養蚕農家の信仰を集め、この土鈴を蚕室につる
すとネズミの害を防ぎ、蚕がよく育つといわれています。その起源
は貞享三年の岐阜大火で焼失した同地の誓安寺が残土で仏像や鈴を
作って諸人に分け与えたのにならったといわれています。土鈴もこ
れほどの風格をそなえると、もはや郷土玩具の域を超えたといえる
でしょう。
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