展示品紹介
展示品紹介
ーなつかしの玩具玉手箱ー
【11】住吉の組み猿
畿内は伝統的な風俗、生活を映した郷土玩具が多いといわれています。古典的な上方おもちゃの地元です。大阪のそれは商都らしく商売繁盛を願う縁起ものの性格が強く、現世利益の信仰にまつわって生まれた住吉大社の土人形は授与品として江戸時代から受け継がれてきました。
海神住吉神をまつり、住吉造りという神社建築様式で有名な社の前で、これらの玩具が売られてきました。裸びなは夫婦円満、種貸しさんは子宝に恵まれること、初辰猫(はつたつねこ)は家内安全、商売繁盛の縁起物でした。
海神である住吉神のもう一面は農耕神でした。庚申(こうしん)猿、鬼門除け猿、招き猿と猿にちなんだものも多いようです。
手捻(ひね)りの猿を一匹ずつ背の上に組み合わせたこの組み猿は千匹猿ともいいます。最高は百五匹もいたそうです。二、三組み合わせたものを喜々猿、七匹のものを日和見猿、五十匹までを組み猿、それ以上を千匹猿というそうです。住吉土人形は江戸明和年間、京の伏見の技術が伝わりました。しかし住吉土人形の特徴は伏見のそれのように大作ではなく、総じて小粒で、土人形一つ一つにいわれがつくことです。この喜々猿は昭和五十五年申年の年賀切手の図案のモデルになりました。
コメントを投稿