展示品紹介
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ーなつかしの玩具玉手箱ー
【3】心棒凧
心棒凧と書いて「シンボウタコ」と読みます。何やら越後の風土と越後人の気質をあらわしているような語感が、切なく懐かしく心に響きます。この凧はかつて高田の空を舞っていました。
凧は新潟県を代表する郷土玩具(がんぐ)の一つです。三条、見附、白根各市の六角凧はつとに有名です。竹骨が少ないわりに丈夫にできています。縦骨を固定せず、取りはずして巻くことができるので「巻凧」とも呼ばれています。当館にはこの六角凧で幅一間の大凧平教経がロビー入り口に展示してあります。絵はすべて手がきの武者絵で蘭丸、日吉丸、金時、太助などが描かれています。
今回の心棒凧ですが、これはすでに廃絶した高田の凧でした。絵をよく見てください。ねぶた凧や六角凧と同じ武者絵ですが、形が丸いせいでしょうか、どこか温和です。細面の若武者は源平合戦のころかもしれません。後の赤い大きな円形は矢よけの母衣(ほろ)を背負っている様子、下の円形は波頭です。凧を揚げるという子供の遊びが見られなくなって久しいですが、人間はずっと空にあこがれてきました。
県内では白根の凧合戦が有名ですが、浜松では四百年も続く凧合戦が行われています。この心棒凧は高田の安田貞蔵さん最後の作品です。これをかぎりとして高田の凧はなくなりました。
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