展示品紹介
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ーなつかしの玩具玉手箱ー
【14】洞慶院のおかんじゃげ
「おかんじゃげ」-なんのことだかお分かりでしょうか。郷土玩具にはその地方の人でなければわからない意味不明な名称があります。先に紹介した甲府の「かなかんぶつ」もそうでした。郷土玩具といわれるゆえんでしょう。
これは静岡県服織久住の久住山洞慶寺の祭日(七月十九、二十日)に境内参道で売られる竹製玩具です。一見して筆のようにもみえますが、これは若竹の先の部分をたたいて麻糸のようにつぶして彩色したものです。この地方独特の自然の竹をそのまま使った遊具です。静岡県内では、各地にあり、その名もアカノジャケ、オカジャケ、オカンジョロなど五十近くも異なる呼称があります。語源はさだかではありませんが「おかん」は紙の毛、「じゃけ」は竹を転がしたものといわれています。
この玩具のユニークなのは男の子と女の子双方の共通の遊び道具だということです。男児はこれを合戦ごっこのさい配にしたり、鬼ごっこのとき鬼に見つからないお守りにします。また禅宗の僧の払子(ほっす)に見立てて和尚さんごっこもしました。女児はこれを毛髪に見立て髪結い遊びや姉さまごっこをしました。
これほど野趣に満ち、他に類型のない玩具も少ないといわれています。
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